嗅覚過敏なゆとりの申し子日記

ゆとり世代の嗅覚過敏な自分が、個人的に考えたことを綴る日記です。

『永い言い訳』を観て

永い言い訳』を観ました。 

永い言い訳

永い言い訳

 

 

 

若い女性と浮気をする夫としてクズな主人公。

妻の事故死をきっかけに、同じ境遇を持つ遺族と出会い、交流をするというストーリー。

この話が良かったのは、遺族の交流を通して、主人公が良い人に変化したという短絡的な結末ではない部分だ。

 

主人公の本名が、“きぬがささちお”という偉大なプロ野球選手と同性同名であることを、人前では隠す場面から、本当の自分に自信がないことが表現されている。

また、自分の遺伝子を残したくないという理由で、子供を作らなかったことも、自分を受け入れることができていないことが分かる。

そして妻が亡くなり、お互いに愛し合うことすらできなかった事実にも向き合えなかった主人公は、遺族の子供たちの世話をすることで、自分がクズであるという現実から目を逸らしていた。

 

そんな主人公とは対照的に、悩みながらも自分の今の人生を懸命に生きる遺族と交流していくと、だんだんと自分自身に後ろめたさを感じるようになる。

最後に主人公が、“永い言い訳”というタイトルの小説を出版する結末は、クズな自分をやっと受け入れることができたことの証なのではないだろうか。

そして遺族の子供からプレゼントされた、妻の写真が入ったフォトフレームを受け取り、部屋に飾ることで、自分の人生を受け入れることができたのだと思いました。